セガの神髄を感じられる意欲作「戦場のヴァルキュリア」レビュー 

 戦場のヴァルキュリアのレビューです。
 プレイ自体は昨年には終わっていたのですが、そのままザクっと見参に突入し、あっちのレビューを書いてたりしていたら書く機会を逸してましたorz
 ざくっと言えば、なかなかオススメのシミュレーションRPGだと思います。

 海外でも高い評価を受けている本作ですが、最大の特徴は「BLiTZ」と呼ばれる戦闘システム。つかシステムに名前つけてるの久々に見たような気がするw まぁ名前が付けられるぐらい新鮮なシステムと受け取りましょう。

--------------------------------------------------------
戦場のヴァルキュリア シミュレーションRPG セガ PS3
SCORE:85

GOOD:SRPGに新たな風を感じさせる独創的なゲームシステム。次世代機の表現力を充分に活かしたアニメ・グラフィック。魅力的なキャラクター。 BAD:「シミュレーションゲーム」として見るとシステムがヌルい。

--------------------------------------------------------
vk117_0.jpg


●斬新な戦闘システム「BLiTZ」
 そのBLiTZの最大の特徴は「ユニットの移動が3Dフィールド内で、TPSのようなアクションゲーム風味で行われる」ということです。
 今までのシミュレーションRPGでは、戦闘時はすべからく「戦場を俯瞰しながら、ユニットを動かす」システムとなっていたため、プレーヤーは神の視点から戦場を眺めていたワケですが、BLiTZでは、ユニット視点で戦場を駆け抜けるため、プレイ中の臨場感が桁違いにアップしています。
 これからはコレが主流になるのでは! と思わせるほどのシステムで、その独創性は褒め称えていいかと。

 移動はTPS風味ですが、ではゲームにアクション要素があるのかといえばそんなものはほとんどなし。ユニットの移動は「味方ターン」「敵ターン」に別れているので、自分が移動しているときに敵も動くといったリアルタイムシミュレーション的な要素は一切なし。例えば移動中に動くのをヤメて、トイレに行くことも可能です。


vk117_1.jpg
敵ユニットが射程内に入ってくると自動で応戦するので、ここだけは
ややリアルタイム的な要素あり。敵前でぼーっとしているとハチの巣に(>_<)


vk117_2.jpg
基本的なゲームの流れは従来のSRPGとまったく同じ。
全体マップで戦場を確認し、ユニットを1体ずつ動かして敵軍を倒していくだけ。
SRPGが好きな人ならすんなり慣れると思います。


 このBLiTZの臨場感を味わうだけでも戦ヴァルをプレイする価値はあると思うのですが、文句が無いわけではありません。というか一杯あるw

 まず、シミュレーションゲームとして見た場合、システムがひどく幼稚というかざっくりしてます。初心者でも遊べるように、わざとこうしているのかもしれませんが、シミュレーションフェチからすると、その大ざっぱさが目に付くと思われます。

 例えば、銃器を使った戦場とは思えないほど接近戦が主体となります。
 戦ヴァルは

・距離が離れると命中率が下がる。
・銃撃にはある程度耐えられる。
・攻撃と攻撃の間には、かなり長い間が発生する。
・照準モードに入ると時間が止まる。

 というシステムになっています。これらが組み合わさるとどうなるかというと、「攻撃を確実に当てるため敵に目一杯近づこうとし」「敵の反撃1回分に耐えて」「次の攻撃がくるまでに敵に隣接し」「2度目の攻撃が始まる直前に照準モードに切り替え、じっくり狙って攻撃」となります。つまり突撃銃を持った兵隊同士が、銃を頭に突きつけながら撃ち合うワケです。
 こんなの近代戦じゃねーよwww

vk117_3.jpg
これぐらいの距離はまだ序の口。そのうちこめかみに銃口突きつけて
3連射とかするようになります。雰囲気ぶちこわしw


 また行動力を一つのユニットに集中して費やすことができるシステムなのも問題。スパロボ辺りを例にすると「1ターンの行動力は10コ」「行動力1コで好きなユニットを1コ動かせる」「最強ユニット1個を10回動かすか、10ユニットを1回動かすかはプレーヤーの自由」というシステムを採用(複数回行動すると移動力が減っていくというペナルティはありますが)。これだとどうしても数体の強いユニットで敵陣に突っ込んで連続攻撃するのが楽。
 スパロボの場合は、それでも「複数ユニットを育てたい」という思惑があるので、まんべんなく移動させるかもしれませんが、戦ヴァルでは「戦闘後に経験値を使ってレベルアップ」するシステムなので、あえて弱いユニットでとどめを刺す必要もありません。
 結果、数体のユニットで敵陣に突っ込んで、阿修羅の如く銃を乱射して一帯を制圧するという「大ざっぱ」な戦闘になってしまいます。

 他にもシステム的に明らかに煮詰まっていない部分が目に付くので、本格的な近代戦SLGを求めると興ざめするというかガッカリするかもしれません。「近代戦をテーマにしたキャラクターSRPG」と割り切れれば全然OKですが。


●ストーリー重視のステージ構成
 序盤はオーソドックスなステージで構成されていて、軍隊バトルを楽しむことができるのですが、後半になってストーリーが佳境に入ってくると、巨大戦艦、固定砲台、戦闘列車など特殊な仕掛けが中心となっていき、「軍隊同士の戦闘を楽しむ」というより「仕掛けをどのように攻略するか」がステージの主眼となってきます。
 僕はSLGには複数ユニットによる大規模バトル&戦術の妙みたいなものを求める派なので、正直この流れは好きじゃありません。特に後半はバカみたいなHPを持つ巨大戦艦とかでてくるんで、シミュレーションって感じじゃなくなってくるんですよね…。
 逆に決められた課題をクリアしていくタイプのステージが好きな方にはいいかもしれません。仕掛け自体はいくつかのパターンが用意されているので飽きにくいとも思われます。僕には正直理解しかねる部分なので憶測になってしまいますが…。

 後半は物量作戦ぽくなって、ちょっとダレました。このゲーム、序盤の遊びはじめが一番面白いかもしれません。最初はクソマジメに全ユニット使って戦線構築とかしりして、それがまた楽しかったりします。慣れてくると戦線構築とかまったくやらなくなりますからね…。


●「育てる」楽しみはあまり無い
 多くのSRPGでは「ユニットを成長させていく」のが楽しみの一つですが、戦ヴァルはその部分をバッサリと切り捨てています。
 成長させるのは「兵科」、つまりキャラクタークラスそのもの。まず経験値を消費して「突撃兵」「偵察兵」「対戦車兵」といったクラスをレベルアップさせます。するとそのクラスのキャラクターはすべてまとめてレベルアップします。お気に入りのキャラを溺愛して強くしたい派の人には、甚だ歯がゆいシステムと言えるでしょう。
 ただ、この簡略化のおかげで「トドメをどのキャラでさすか」を考慮しなくて良くなったので、ステージでは純粋に「戦闘」を楽しむことでできるというメリットもあります。まぁトドメを考えるのが楽しいって人も多いとは思いますがね。

vk117_4a.jpg
汎用キャラもボイス付き。口調などが違うのでそのあたりにキャラ性を
見いだして偏愛するのもアリですがマニアックかもしれません。
能力的にはクラスが一緒ならほぼ同じ。


 一応、キャラには「スキル」と「装備」という項目があるので、ある程度の差別化は図られていますが、従来のSRPGと比べれば「ユニット的な特性の差」は微々たる物です。
 その反面、戦闘中にボイスが付いていたり、3Dモデルが細やかなモーションを見せたりとビジュアル的な特徴付けが大幅に強化されているという面も見逃せないところ。
 見た目でキャラを差別化できる人にとっては「キャラゲー」としても問題ないというか、むしろパワーアップしているかも。逆にキャラに実利的な性能を求める人、ディスガイアあたりで汎用キャラを限界まで強めて「オレツエー」とか言いたい人にとっては少々物足りないかもしれません。

vk117_4b.jpg
クラスをレベルアップさせていくとクラス単位でスキルを覚えていく。
どのクラスを育てるかは人それぞれの個性がでる部分。


●王道的な反戦ストーリー
 軍隊モノではありますが、主人公たちを民間から徴兵された「義勇兵」というポジションに置くことで、「戦争の虚しさ、悲しさ」を主眼に置いています。あと仲間の大切さとかね。
 シビアに見ると、敵を記号化していて「命を奪い合う」コトへの洞察が足りない気もしますが、まぁそこまでやる必要もないだろうし、遊ぶ方も求めていないと思われ。

 言葉の言い回しやシチュエーションはオーソドックスなモノが多く、一歩間違うと陳腐化しそうなのですが、丁寧なストーリーテリングやゲーム全体にただようハートウォーミングな雰囲気によって、素直に受けいれられるようになっています。
 テーマがあまりに直球かつシンプルな答えになっているのでで「お話が子供だまし」と思う人も少なくないと思いますが、少なくとも僕は「子供だまし的なコトって大切なコトだよなぁ」と再確認できたのが嬉しかったです。

 あぁ、あと「戦記物」としても、まずまずの考証がなされていると思います。国家レベルの物語を描いているにも関わらず、ご都合主義的な嘘くささはほとんど感じませんでした。素晴らしい。


●グラフィック
 えー、これは見たまんまですw あのグラのキャラが出まくりです。中にはみんなで海いって水着披露イベントなんかもあるほどなんで。
 かなりベタな部類に入ると思うのでパッケ見てダメな人は避けた方がいいかも。逆に気に入った人は思う存分満喫できるはず。

 背景なんかもパッケの雰囲気そのままで、水彩画タッチで丁寧に書かれていると思います。画面全体にフィルターをかけるという処理の方式にちょっと違和感を覚えもしましたが、まぁ許容範囲かと。全編丁寧に作ってあるので、イベントの見応えはなかなかのものだと思います。

vk117_5.jpg

vk117_7.jpg
キャラのモーションはなかなか良い感じかと。雰囲気でてると思います。


 レビューするとどうしても悪い部分の方が書きやすいので、そちらによってしまいましたが、個人的にはかなーり楽しく遊べました1本。なにより暖かみあるグラフィックと誠実なストーリーによって醸し出される「雰囲気」が素晴らしい。理屈抜きに引きつけられました。
 文句をたれた「システムがちょっと残念」も、いわゆるRTS的な面白さを求めると出てきたものであり「戦ヴァルはこういうゲーム」って思えば、それはそれでアリ。なんつーか「好きなゲームほどシステムに注文つけたくなる」っていうはハンター×ハンター理論ですかね。

 細かい部分まできっちりと作り込んだ丁寧さ、アイデアがたっぷり盛り込まれたシステムなど、今までPS3で遊んだ中では、もっとも「ゲームらしいゲーム」と感じました。
 僕はセガのゲームがけっこう好きなのですが、戦ヴァルはセガらしい職人芸的なゲーム作りの結晶がそこかしこから溢れている1本といっていいかと。こういうゲームがどんどん増えて欲しいですねー。

 なお3/5にベスト版が発売されるそうです。お値段3990円。
 中古価格も同じぐらいだと思われますが、ベスト版には600円で配信中のDLC「イーディ分隊大作戦!」が収録されているとのことでちょっとお得。
 ちなみに戦ヴァルの売上げ数は14万ほど。悪くない数字だとは思いますが、もっと売れてもいいと思うんだけどなー。PS3で売れるゲームって、マニアックなのか大衆向けなのかイマイチ分からず…。ベスト版でもう一伸びしてもらって、ぜひとも「2」の制作をよろしくお願い致します。セガ万歳。


●関連エントリ
『戦場のヴァルキュリア』を買ってみた&プチレビュー
戦場のヴァルキュリアが海外で超高評価_とかニュース
戦場のヴァルキュリア、北米での売り上げが判明!

●公式サイト
戦場のヴァルキュリア

●スクリーンショット
戦場のヴァルキュリア(4gamer)

●レビュー
4.5:「戦場のヴァルキュリア」紹介/レビュー (PlayStationCS)
見た目はアクション、中身は正統派S・RPG(電撃オンライン)
ストーリーと独特の表現方法、そしてゲームシステムが魅力(GameSpot)

●攻略サイト
戦場のヴァルキュリア攻略ガイド
戦場のヴァルキュリア 攻略情報Wiki
関連記事
[ 2009/01/17 21:14 ] ゲームレビュー | TB(0) | CM(7)


レビューは参考になるからいいけど、これで買うのをやえるってのが心配なんだよな。
ゲームオブザイヤーもそういう所が怖い。
[ 2009/01/17 23:44 ] [ 編集 ]

長いから、>>続きを読む 
みたいなの付けて欲しかったな。

下の記事読もうと思ったら大変だし。
[ 2009/01/18 00:08 ] [ 編集 ]

a

買ってみようかな・・
[ 2009/01/18 03:41 ] [ 編集 ]

レビュー見て買うのやめるならそれも悪いことじゃないだろ。
逆に長所だけを推して短所を隠すような宣伝することの方がよっぽど怖い。
[ 2009/01/18 13:19 ] [ 編集 ]

お、>>続きを読むで纏めてくれて
ありがとうございますー。
[ 2009/01/18 14:53 ] [ 編集 ]

レビュー、読んで頂いてありがとうございます。参考になれば幸いです。
どうしても僕フィルターがあるので、他のレビューと合わせてもらうと
よりいいかもしれません~。

>お、>>続きを読むで纏めてくれて
確かに長いと下行くの大変そうだったので修正しました。
ご指摘ありがとーございますm(_ _)m これからもよろしくです。

[ 2009/01/18 16:15 ] [ 編集 ]

確かにココをああして欲しい、アレをこうして欲しい、
など気になる点もありましたが、終わった後は「ああ面白かった」と素直に言えるゲームでしたね。
BLiTZは今後色んな作品にどんどん使って欲しいレベルのシステム。
[ 2009/01/22 14:21 ] [ 編集 ]

コメントの投稿


蔑称使用、誹謗中傷や罵詈雑言、煽りコメントは禁止。

ネタバレも基本的に禁止。随時削除します。

スパム対策のため「http」が使えません。

お手数ですがhを抜くなどで対応お願いします。














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
https://graffito.blog.fc2.com/tb.php/785-d247b571