ちょっと前のニュースですが、EUで音楽や動画をインターネットでシェアする際の著作権の扱いについて、大きな変化がありました。
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欧州議会、著作権指令の改正案承認 YouTubeなどにユーザーの著作権侵害完全防止を義務付け・
欧州の一部のWikipedia、EUの著作権新指令抗議で検索結果の代わりに声明文表示・
YouTubeのウォジスキCEO「EUの新著作権指令13条は非現実的」 けっこう複雑で範囲の広い問題なのですが、猛烈にざっくりとまとめると「Youtubeなどの投稿型サイトは、著作権を無視したコンテンツを削除する義務を負う。削除できなかった場合はサイト運営会社が責任を問われる」というものです。
(「
ネットの自由と著作権はもっとうまく両立できる? 物議を醸すEUの著作権新指令案」を読むと分かりやすいかも)
今までは、Youtubeなどのサイトは、アップロードされたモノが違法なものであっても、「投稿されたものの内容を知らない」場合は責任を問われませんでした。
ところが、今後は違法動画に気づかずスルーした場合は訴えられることになる…可能性がでてきます。
で、YoutubeとかTwichみたいな動画アップロードや実況サイトは、この法案に文句を言ってるワケです。
「膨大な動画がアップロードされるため、問題のある動画を確実にブロックするのは困難だ。この法案が実施された場合、サービスの提供自体を停止するおそれがある。被害を被るのはユーザーだ」と。
まぁ、言いたいことは分からなくもないですし、実際の運用において「背景にちょっと映り込んだり、BGMが流れてきてしまったらどうするの?」みたいな問題を考慮しなければいけないのも間違いないとは思います。
とはいえ、違法動画がアップされていて、それで広告収入などを得ているサイトが「内容を知らないから責任は負えません」でいいの? とは思うんです。
「僕達は動画でお金稼いでます! 違法動画も中にはありますけど、それを削除するのはムリなので多めに見てね!」ってのは、わりと盗っ人猛々しいのでは…と。
実際、昔と比べればだいぶマシになったとはいえ、Youtubeとかけっこうな数の違法動画があふれてますからね。
子供がYoutubeなどで違法にアップされたアニメとか映画とか見て喜んでいるのを見ると、なんと言って止めさせればいいのか、わりと困ってしまいます。
なので、個人的には、原則としては「違法動画を削除する責任は、商売しているサイト運営会社にある」のが正しい姿だと思います。
そもそも、違法動画の流通量がたいしたものじゃなければ、多分、こんな議論は起こらなかったはず。
問題があるのを知りつつ、なぁなぁで過ごしてきたサイト側の責任は無視できないんじゃないかなぁ…。
そして、違法動画への対処を厳しくすると、利便性が下がるのだとすれば、それは仕方のないことかと思います。
(いっぽうで、利便性を高めるために「著作物を自由に使っていいケース」などの整備は、進めるべきでしょう)
「便利だから」を免罪符にしたら、動画や音楽や漫画などの違法コピーだってOKになっちゃいますからね。
・その他、参考記事
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EU、侵害コンテンツ削除などを盛り込んだ著作権指令正案で合意、2020年にも施行へ・
EUの新著作権指令はインターネットを破壊する・
TwitchのCEO、EU「著作権法改正」について声明―"第13条"コンテンツフィルターに懸念