「理想のRPG」…一つの答えがここに。SF-RPG「マスエフェクト」レビュー 

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 最近積んだゲームを次々と遊んでいるのですが、どうも買ってくるのは海外タイトルが中心。遊んでみると、やっぱりテイストというか立ち位置の違いを感じます。「ディスガイア3」→「ギアーズオブウォー2」みたいな流れだと特に。

 そんな中、最近遊んだゲーム、いやもしかすると今年遊んだ中でも最も面白かったのではあるまいかと感じたのが今回紹介する

 『MASS EFFECT』

 です。日本語表記はマスエフェクト。

 360専用のSF-RPGで、海外では非常に高い評価を受けている作品。
 Metacriticの平均スコアは「91点」という高得点をマーク。これは歴代360タイトルの中で17位、RPGに限定すればオビリビオン、フォールアウト3につぐ第3位となります。

 海外では07年の11月に発売されダブルミリオンを記録した本作ですが、日本語化は遅れに遅れ、結局発売されたのは今年の5月。
 国内360ユーザーの少なさや、日本の「SFモノは売れない」という伝統に阻まれ、売上も話題もかなり地味な感じとなっています。

・Launch Trailer


 マスエフェクトのウリはいろいろあるのですが、一番の特徴は「会話テキストが非常に豊富で、かつ返事や行動パターンを自由に選択できる」というコト。そしてそれを「非常にストーリー性の強いシナリオで実現している」ことです。
 例えば「ちょっといけすかない上司に命令された時」に、あなたは礼儀正しく受け答えして模範的な部下を演じることも、皮肉を交えつつアウトロー的な男を演じることも、さらには完全に無視することもできます。

 会話の受け答えや行動を自由に選択できると言うと、洋ゲーにありがちな「自由度が高いけど、何をしていいのか良く分からない」、つまりストーリー性の低いものを想像しそうですが、マスエフェクトはものすごくストーリー性が高いゲーム。むしろJRPGなみにストーリー性の強いゲームだったりします。

 RPGとはもともと「ロールプレイング」つまり、役割を演じるゲームでしたが、ストーリー性を重視するようになってきたころから「役割を演じる」というよりは「役割をなぞる」ゲームになっていきました。
 それも仕方がないことで、王様に魔王退治を命じられたときに「イヤだ」と言ってしまったら、そこで物語が終わっちゃう。
 RPGの思想から言えば、本来は「イヤだ」と言った先の物語も作っておくべきなのでですが、かってのゲーム機のスペックを考えるとそれは非常に難しい。となると「イヤだ」と言うと「そんなことを言わずによく考えてくれ」という返事が返ってくるわけです。

 結果としてRPGは「キャラクターの意志はあるが、プレーヤーの意志は無い」ゲームになっていきます。

 しかしマスエフェクトは違います。
 会話パターンと分岐を豊富に用意することで、キャラクターの個性をプレイヤーが決定することができます。
 僕がプレイしたマスエフェクトでは主人公は「模範的軍人の王道英雄」になり、別の人が遊んだマスエフェクトは「斜に構えた皮肉屋ヒーロー」になりうるのです。

 今までのゲームは「作られたストーリーをなぞる」のが主流でしたが、マスエフェクトでは映画的なストーリーをなぞりつつ、そこで活躍する主人公をより「自分の分身」として見られるようになっているワケです。

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リアル系のグラフィックのデキはかなり良くて、
今までありがちだった「ポリゴンモデルならではの妙な違和感」をあまり感じず。
手前が主人公で、顔モデルはオブリやFalloutのように細かくカスタマイズ可能。
カスタマイズの限界はあるので「理想のルックス」は難しいかもしれませんが、
少なくとも「生理的にムリ」はかなりの確率で解消できる。


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主人公は男でも女でもOK。「ビッチな女軍人。でもたまにツンデレ」みたいな
脳内設定をつくってからプレーすると面白さ倍増です。
僕は3週目にビッチ女で遊ぶ予定ですorz ちなみに英語ボイスの日本語字幕。



 会話を自由に選べるとは書きましたが、実はどのような答えを選んでもストーリーが分岐しないことも多いです。
 不条理な指令に対し「ふざけんなクソ野郎!」と答えても「サー、イエスサー」と答えても、最終的には任務達成のために目的地に向かうことになります。
 つまり「マルチ会話」であっても「マルチストーリー」ではなかったり。
 また、こちらがどんな態度を取っても、答えは同じということも珍しくありません。(もちろん違和感のないよう整合性をとって話は進んでいきますが)

 こう書くと大したこと無さそうですが、実際に遊んでみると「答え」よりも「自分が発する言葉」の方が、没入感に与える影響ははるかに大きいということが良く分かります。
 自分の思うような言葉・態度を取れることで、画面内のキャラクターが「与えられたもの」から「自分が演じているもの」に変貌を遂げるのです。


 海外のゲームって「映画的なおもしろさ」を目指す&追い越そうとしている気がするんですが、その理想を高いレベルで実現しているタイトルが2つあります。

 一つが「アンチャーテッド」で、もう一つが「マスエフェクト」です。

 アンチャーテッドが「お話を楽しむ」という映画本来の楽しみかたをゲーム的な手法・表現で進化させているのに対し、マスエフェクトは「自分がゲームの中に入り込むこと」で映画以上の興奮を与えてくれます。

 今までのゲームでは「まるで自分が映画の主人公になったようなゲーム」は実現不可能でした。「映画以上の娯楽」を表現するにはゲーム機のスペックが圧倒的に不足していたからです。
 しかしマスエフェクトは、それを完璧に実現したとは言えませんが、その理想に、現時点でもっとも近づいているタイトルの1本なのです。

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ゲーム内にはいろんな「異星人」が登場します。
スターウォーズやFF12のような「異なる種族が当たり前のように一緒に生きている世界」が
好きな人にはストライク確実。ちなみに写真の3種族は全部仲間になり、
手前の青いハダの種族がヒロインだったり。
最初はアレですがずっと見てると可愛く見えてくるから不思議。



 個人的な感想では、主人公のシェパードが「スペクター」になったシーンのカタルシスは最近のゲームの中じゃぶっちぎりで高かったです。終わりに向けてのお話の盛り上がりも、ありがちといえばありがちでしたが、良い感じで盛り上がっていくし。

 SFである、戦闘がアクション、可愛いヒロインは出てこない等々、好き嫌いが出やすいゲームなので、のべつくまなく誰にでもオススメできるゲームではないかもしれません。
 しかしある程度気心の知れた友人に「これ面白いから遊んでみ」と勧めたくなるぐらいの「マイお気に入りゲーム」であることは断言します。

[ 2009/10/12 23:30 ] ゲームレビュー | TB(0) | CM(10)